過半数代表者

〜過半数代表者とは〜


就業規則を作成(改定)時に意見を聴く、36協定を締結する等に選任される労働者代表もしくは過半数労働組合ですが、日本では過半数を組織する労働組合は少ないので、多くの場合は労働者の代表を選ぶことになります。

労働者代表の選出時には、次に記す一定のルールがあります。

  • 管理監督者ではないこと
  • 労働者(正社員だけでなく、パートタイマ―、アルバイト等も含む全ての労働者)の過半数が、代表者と認めていること
  • 選出理由(36協定の締結等)を明らかにして行われる選挙、挙手等の方法で選任されること(使用者の意向に基づき選出されたものでないこと

「社長から指名された」、「昔から自分がやっているから」、「誰もやらないから」といった理由で代表者になることは認められません。なぜなら、労働者の過半数がその人を支持しているという理由にないからです。

この点を、労働基準監督署に指摘されることもあります。過半数代表者の選出が適切でないと、協定等の効力がなくなり、例えば、36協定に基づいて行われる残業、休日労働等がすべて法律違反になってしまいます。このことが原因で発生する諸問題を最近よく耳にします。


労働者の過半数代表者選びは、挙手、投票、立候補者に対する署名等様々な方法があります。

労働者代表の選任を確実に行うことは、後々の問題を発生させないために極めて重要です。

時間外労働時間(残業)

〜時間外労働時間(残業)〜


使用者は、1日8時間、1週40時間を超えて労働者を働かせてはいけない義務があります。この時間のことを「法定労働時間」といいます。


法定労働時間を超えて労働(残業)する必要がある場合には、時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定)を労働基準監督署に提出すれば、協定書で締結した時間は法定労働時間を超えて残業、休日労働することができます。

この36協定を提出することにより、月45時間、年間360時間(1年単位の変形労働時間制を適用している事業場では、月42時間、年間320時間)残業をすることができます。


さらに、36協定における残業時間ではとても仕事をこなせない特別な理由がある場合については、特別条項を締結することにより下記の条件のもと、残業をすることができます。

  • 年間の残業時間が720時間以内
  • 月45時間を超える残業時間の回数が年6回まで
  • 1ヵ月の残業、休日労働の合計が100時間未満
  • 残業、休日労働の合計時間が、2〜6ヵ月平均で80時間以内

 

時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定)及び特別条項を締結するためには、労働者代表を選任する必要があります。この選任方法が適切でないと、36協定等が無効となって罰則の対象になることもあります。

 

まとめ

原則 1日8時間 1週40時間
例外
36協定を締結
月45時間 年間360時間の残業ができる
(1年単位変形労働時間制適用の場合 月42時間 年間320時間)
更なる例外
特別条項を締結
残業がつき45時間を超える月数は、年6回まで
残業時間は年720時間以内
月の残業時間+休日労働の合計時間は100時間未満
2〜6ヵ月の月平均(残業+休日労働)が80時間以内

時間外労働の上限規制

〜時間外労働(残業)の上限規制とは〜


2019年4月(中小企業では2020年4月)より、時間外労働(以下「残業」)の上限規制が行われます。


原則の残業時間は、月45時間かつ1年360時間(1年単位の変形労働時間制を適用している事業場では,1ヵ月42時間かつ1年320時間)です。


臨時的な特別の事情があり、上記の残業時間をこえることが予想できる場合には、特別条項を労使で締結する必要があります。ただし、特別条項であっても次の時間内とする必要があります。

  • 時間外労働年間720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計1か月100時間以内、2〜6か月平均80時間以内

 例えば、1月を起算月とすると・・・
 1月と2月、1月〜3月、1月〜4月、1月〜5月、1月〜6月
 どの期間の平均値をとっても80時間以内にする必要があるということです。

  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6回まで

 

次の事業・業務については、上限規制の適用が2024年3月31日まで猶予されます。

  • 建設業
  • 自動車運転の業務
  • 医師   等


上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

 

 


深夜業従事者の自発的健康診断

〜深夜業従事者の自発的健康診断〜


常時使用される労働者深夜業(午後10時〜午前5時までの業務)に従事する者であって、その深夜業の回数が自ら受診した健康診断前6カ月を平均して1か月当たり4回以上の場合は、自ら受診した健康診断の結果を証明する書面を使用者に提出することができます。

 

この書面を受け取った使用者は、その健康診断の結果に異常がある場合については、労働者の健康を保持するために必要な措置について、次に定めるところにより医師の意見を聴かなければなりません。

・健康診断診察の結果を証明する書面が使用者に提出された日から2カ月以内に行うこと
・徴収した医師の意見を健康診断個人票に記載すること
・使用者は、医師から意見徴収するうえで必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかにこれを提供すること

 

使用者は、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは次の措置を講じることになります。

・作業場所の変更
・作業の転換
・労働時間の短縮
・深夜業の回数の減少  等々

健康診断の受診義務

〜健康診断の受診義務〜


労働者は、使用者が行う健康診断を受診することが義務です。

 

しかし、医療行為である以上労働者と医師との信頼関係も大切であり、この点も配慮する必要があります。

 

このような事情から、労働者が会社が指定した医師又は歯科医師の健康診断を受診することを希望しない場合には、他の医師又は歯科医師の行う健康診断を受診し、その結果を使用者に提出することもできます。

給食従業員の検便

〜給食従業員の検便〜

使用者は、事業に付属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際、又は当該業務への配置換えの際検便による健康診断を行わなければなりません。

 

海外派遣労働者に対する健康診断 

〜海外派遣労働者に対する健康診断〜


使用者は、労働者を海外に6カ月以上派遣しようとするときは、あらかじめ当該労働者に対し一定の項目について医師による健康診断を行わなければなりません。

 

また、海外に6カ月以上派遣した労働者が帰国し、業務に就くときも、当該労働者に対し一定の項目の医師による健康診断を行わなければなりません。

特定業務従事者の健康診断

〜特定業務従事者の健康診断〜

 

使用者は、有害物ガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務等(特定業務)に常時従事する労働者に対しては、定期健康診断を6カ月に1回行わなければなりません。また、他の業務から特定業務へ配置換えがあった際にも同様の健康診断を行わなければなりません。

 

イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務

ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

ホ 異常気圧下における業務

ヘ さく岩機、鋲(びよう)打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務

ト 重量物の取扱い等重激な業務

チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

リ 坑内における業務

ヌ 深夜業を含む業務

ル 水銀、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

ヲ 鉛、水銀、クロム、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務

カ その他厚生労働大臣が定める業務

 

気を付けていただきたいのは、特定業務のなかには、「深夜業を含む業務」が含まれています
※「深夜業を含む業務」とは、業務の常態として深夜業を1週間に1回以上、又は1か月に4回以上行う業務をいいます。

 

特定業務とは、一般に有害業務の範疇に入るものです。業務と健康被害との関係が深いと考えられるため健康診断の回数が増やされています。

定期健康診断

〜定期健康診断〜


使用者は、雇入れ時健康診断の結果を基礎として、労働者の健康状態を把握し、労働者が職業に就いている間、健康で働くことができるよう適切な健康管理を行わなければなりません。

 

使用者は、常時使用する労働者に対して1年に1回(特定業務従事者については6カ月以内に1回)、定期に次の項目について医師による健康診断を行わなければなりません。

 

・既往歴及び業務歴の調査
・自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・身長・体重・腹囲・視力及び聴力の検査
・胸部エックス線検査及び喀痰検査
・血圧の測定
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査

雇入れ時健康診断

〜雇入れ時の健康診断〜  


労働者の適正配置及び入社後の健康管理のために、使用者は、常時使用する労働者を雇入れる際には次の健康診断を行わなければなりません。


・既往歴及び業務歴の調査
・自覚症状及び他覚症状の有無の検査
・身長・体重・腹囲・視力及び聴力の検査
・胸部エックス線検査
・血圧の測定
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査


雇入れ時の健康診断は、原則として検査項目の省略は認められておりません。ただし、医師による健康診断を受けてから3カ月以内の者がその結果を証明する書類を提出した場合には、その項目に相当する項目は省略することができます。


健康診断

〜健康診断〜

 

健康診断は、労働者の健康状態を把握し適切な健康管理を行っていくうえで必要であり、労働者の健康状況から作業管理の問題点等を発見し、その改善を図っていくためにも必要不可欠です。このため安全衛生法では、使用者に次健康診断を義務付けています。

@雇入れ時の健康診断  
A定期健康診断
B特定業務従事者の健康診断
C海外派遣労働者の健康診断
D給食従業員の検便


@〜Bは「常時使用する全ての労働者」を対象としています。
常時使用する全ての労働者」とは正社員、又は次のいずれの要件も満たす者であることとされています。

要件1
期間の定めのない労働条件により使用れる者(期間の定めのある労働条件(契約社員、パートタイマー等)により使用される者であって、当該契約の契約期間が原則として1年以上である者、並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、及び1年以上引き続き使用されている者を含む)であること

要件2
その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する正社員等の通常の労働者の1週間の所定労働時間数の3/4以上であること


一般的な会社に当てはめてみると、
正社員の1週間の労働時間が40時間であれば、パートタイマーは要件
1・2を満たし1週間の労働時間が30時間以上であれば@、Aの健康診断(Bは該当した場合のみ)を実施する必要があるということです。

安全配慮義務

〜安全配慮義務〜


使用者(会社、事業主)は、労働者に対する義務として「賃金支払義務」を負っているのは当然ですが、その他に「安全配慮義務」も負っています。


安全配慮義務とは、労働者の生命、身体、心身等の健康を守ることです。簡単に言えば、労働者を危険から守る義務です。


賃金については、労働契約書、就業規則等で明記してありますが、安全配慮義務については、明記していないこともあります。安全配慮義務については、契約云々にかかわかず当然に使用者の義務になります。


使用者は、使用者の指揮命令のもと労働者に働いてもらい、また、会社の設備を使用させることにより利益を上げているのですから当然の義務ということになります。

 

使用者は、労働者の職種、労働内容、就業場所等に応じて、労働者が安全に働けるように必要な配慮をしなければいけません。職場での危険個所の改善による労災防止活動は当然のこと、長時間労働、職場環境が原因による心身の不良等にも、使用者はその症状が改善されるよう配慮(医師の診察、職場変更、労働時間の短縮等)しなければなりません。

労働契約の原則

〜労働契約の原則〜 


労働契約(雇用契約)は、使用者(会社等)と労働者の合意により成立します。

 

会社が一方的に契約を成立させたり、変更したりすることは原則できません。一方的に変更することもできますが、法律上それなりの要件が必要です。

 

また、同意があったとしても、その同意が労働者自身の意思であると認められない場合は、その合意は無効になる可能性があります。例えば、同意しなければ会社に居づらい等、合意しなければ何らかの不利益を被ることを恐れて合意したような場合です。

 

採用時は当然ですが、労働条件変更(労働時間、就業場所、賃金等)の時も必ず書面にて労働条件を明示し、契約・変更内容を説明した後で合意することが後々のトラブルを防ぐことができます。

 

契約時、変更時に労働条件を明確にしなくても、実際働けば労働条件はわかります。それならば初めから労働条件を明示した方が、納得して働けるというものです。


労働人口が減少し採用難になるこれからの時代、会社も従業員から選ばれなければなりません。

 

従業員が気持ちよく働ける環境を整えてこそ労働生産性は高まるのではないでしょうか。

 

労災保険の種類G 二次健康診断等給付

〜二次健康診断等給付〜


制度の趣旨

この制度は、主に脳、心臓疾患を予防・防止するために設けられた制度です。


支給要件

労働者が定期健康診断を行い、以下の検査数値の全てで異常の所見が医師によって認められた場合に、二次健康診断及び特定保健指導を無料で受けることができます。

  1. 血圧の測定
  2. 血中脂肪検査(コレステロール、中性脂肪等)
  3. 血糖検査
  4. BMI(肥満度)


給付内容
二次健康診断 二次健康診断として、以下の項目にわたる検査を1年度につき1回k限り無料で受けることができます。

  1. 空腹時血中脂質検査
  2. 空腹時の血中グルコース量の検査(空腹時血糖値検査)
  3. ヘモクロビンAIC検査(一次健康診断において行った場合は除く)
  4. 負荷心電図検査又は胸部超音波検査(心エコー検査)
  5. 頸部超音波検査(頸部エコー検査)
  6. 微量アルブリン尿検査(一次健康診断において尿蛋白検査の所見が擬陽性(±)又は弱陽性である者に限る)
特定保健指導

特定保健指導として、以下の指導等を二次健康診断ごとに1回に限り無料で受けることができます。

  1. 栄養指導
  2. 運動指導
  3. 生活指導

 

 

労災保険の種類F 介護(補償)給付

〜介護(補償)給付〜


重篤な後遺障害が残存した場合に支給される介護に対する給付です。

 

支給要件

業務中又は通勤途中での事故が原因で労働者が常時又は随時の介護が必要な状態になっている場合、次の条件を満たすことで介護(補償)給付を受給することができます。

  • 障害(補償)年金か傷病(補償)年金を受給していること
  • 受給している年金の等級が1級又は2級であること
  • 現に介護を受けていること

ただし、労働者が、身体障害者療養施設、老人保健施設、特別養護老人ホーム、原子爆弾被爆者特別養護ホーム、労災特別介護施設のいずれかに入所している場合には支給されません。


支給額(支給額は変更になる場合があります)

  1. 常時介護を要する場合
    現実に介護の費用を支出している場合には、1か月あたり10万4,290円を上限として現実に支出した金額が支給されます。親族などの介護を受けている場合には、現実に介護の費用を支出していなくても1か月あたり5万7,030円が一律に支給されます。
  2. 随時介護を要する場合
    現実に介護の費用を支出している場合には、1か月あたり5万2,480円を上限として現実に支出した金額が支給されます。親族などの介護を受けている場合には、現実に介護の費用を支出していなくても1か月あたり2万8,520円が一律に支給されます。

 

業務災害での補償 ・・・ 介護補償給付  

通勤災害での補償 ・・・ 介護給付



労災保険の種類E 傷病(保障)給付

〜傷病(保障)給付〜


傷病(保障)給付とは、療養開始後1年6か月を経過した重篤な傷病に対する給付です。

 

支給要件

以下の要件に該当する場合に支給されます。

  • その傷病が治癒(症状固定)していないこと
     労災で「治癒」とは、症状が固定し、これ以上良くも悪くもならない状態のことをいいます。
  • その傷病の障害の程度が、傷病等級の1〜3級に該当すること
     傷病等級については、ここをクイック

傷病(補償)給付は、労働者側からの請求により支給されるものではなく、支給要件に該当する場合に、労働基準監督署署長の職権によって支給決定されます。


支給内容   

以下の表に示すように、傷病等級に応じて一時金として傷病特別支給金のほか、給付基礎日額及び算定基礎日額に応じて年金が支給されます。

傷病
等級
傷病(補償)年金 傷病特別
支給金
傷病特別年金
第1級 給付基礎日額の313日分 114万円 算定基礎日額の313日分
第2級 給付基礎日額の277日分 107万円 算定基礎日額の277日分
第3級 給付基礎日額の245日分 100万円 算定基礎日額の245日分
  • 給付基礎日額
    →負傷又は発病の日以前3ヶ月の給与総額を、3カ月間の総日数で割った額。原則として、負傷又は発病の日直前の給与締日から遡って3カ月間で計算する。
  • 算定基礎日額
    →負傷又は発病の日以前1年間に支払われた賞与等の総額を、1日当たりの額(総額÷365)に直した額。

 

療養(補償)給付及び休業(補償)給付との関係 

労災事故が発生した場合には、まず療養(補償)給付を使い治療等をし、その事故がもとで働けない場合に休業(補償)給付が支給されます。これらの補償を受けながら1年6か月経過した時点で傷病等級に該当していた場合については、休業(補償)給付は支給されなくなり、療養(補償)給付と傷病(補償)給付が支給されます。その時点で傷病等級に該当していない場合には、引き続き療養(補償)給付及び休業(補償)給付が支給されます。また、傷病が治癒(症状固定していること)している場合には、障害(補償)年金が支給されます。

労災保険の種類D 葬祭料(葬祭給付)

〜葬祭料(葬祭給付)〜


労働者が業務中又は通勤途中に死亡した場合に、その葬儀費用の一部を補填する目的で支給されます。

支給要件

支給を受けることができる者は、原則として死亡した労働者の遺族です。ただし、遺族が葬儀を行わず、事業主や友人等が葬儀を行った場合には、事業主や友人に支給されます。また、すでに葬儀を執り行っている場合に請求ができ、これから葬儀を行う予定という場合については支給されません。

 

支給額

支給額は、以下のいずれかの高いほうとなります。

  • 被災した労働者の給付基礎日額の60日分
  • 被災した労働者の給付基礎日額の30日分 + 31万5,000円

給付基礎日額→負傷又は発病の日以前3ヶ月の給与総額を、3カ月間の総日数で割った額。原則として、負傷又は発病の日直前の給与締日から遡って3カ月間で計算する。

 

葬儀費用に基づいて支給されるのではなく、あくまでも給付基礎日額に基づいて支給されます。

労災保険の種類C 遺族(補償)給付

〜労災保険の種類C 遺族(補償)給付〜

 

被災した労働者が業務災害又は通勤災害によって死亡した場合、被災労働者の遺族に対して、遺族(保障)年金が支給されます。

 

支給要件は、次のすべての要件を満たすことが必要です。

  1. 労働者が死亡した当時「その収入によって生計を維持していた」こと
  2. 労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること
     配偶者については、現に同居しているなどの生計維持関係があれば必ずしも入籍している必要はなく、いわゆる内縁関係も含まれます。
  3. (妻以外の遺族については)年齢要件を満たしていること。

 

受給する権利を有する者が複数いる場合については、以下の順番で優先順位が決まります。

  1. 妻、夫(夫については、60歳以上又は一定の障害の状態あることが条件)
  2. 18歳までの間又は一定の障害の状態にある子
  3. 60歳以上又は一定の障害の状態にある父母
  4. 18歳までの間又は一定の障害の状態にある孫
    (「18歳まで」とは、「18歳になって初めて迎える3月31日までのこと、以下同じ)
  5. 60歳以上又は一定の障害の状態にある祖父母
  6. 60歳以上、18歳までの間又は一定の障害の状態にある兄弟姉妹
  7. 55歳以上60歳未満の夫
  8. 55歳以上60歳未満の父母
  9. 55歳以上60歳未満の祖父母
  10. 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

受給している者が死亡したり婚姻したりしたため受給する権利を失った場合は、次の順位の遺族が繰り上がって受給できるようになります。また、受給する権利のある者で夫、父母、祖父母、兄弟姉妹の場合、労働者が死亡した時点で60歳に達していなければ、60歳に達するまでは年金の支給が停止されます。

 

遺族の数に応じて、遺族(補償)年金が支給されます。
また、これに加えて遺族数に関係なく遺族特別支給金300万円が一時金として支給されます。

遺族数 遺族(保障)年金 遺族特別支給金 遺族特別年金
1人 原則給付基礎日額の
153日分
300万円 原則算定基礎日額の
153日分
2人 給付基礎日額の
201日分
算定基礎日額の
201日分
3人 給付基礎日額の
223日分
算定基礎日額の
223日分
4人 給付基礎日額の
245日分
算定基礎日額の
245日分
  • 給付基礎日額
    →負傷又は発病の日以前3ヶ月の給与総額を、3カ月間の総日数で割った額。原則として、負傷又は発病の日直前の給与締日から遡って3カ月間で計算する。
  • 算定基礎日額
    →負傷又は発病の日以前1年間に支払われた賞与等の総額を、1日当たりの額(総額÷365)に直した額。


※名称に「補償」がついたものは「業務災害」に該当する給付で、ついていないものは「通勤災害」に該当する給付になります



労災保険の種類B 障害(補償)給付

〜労災保険の種類B 障害(補償)給付〜


業務災害又は通勤災害による怪我等で治療を続けてきた労働者が症状固定の状態(治療効果が期待できなくなった状態)になり、後遺障害が残存した場合に、その障害の程度に応じて、障害(補償)年金※、障害(補償)一時金等が支給されます。

 

障害の程度は、残存した障害の種類に応じて以下に記した金額が支給されます。

 

障害等級 障害(補償)
給付
障害特別支給金 障害特別
年金
障害特別
一時金
給付基礎日額 算定基礎日額 算定基礎日額
第1級  年金  313日分 一時金 342万円 年金 313日分    
第2級 年金 277日分 一時金
320万円 年金 277日分    
第3級 年金 245日分 一時金 300万円 年金 245日分    
第4級 年金 213日分 一時金 264万円 年金 213日分    
第5級 年金 184日分 一時金 225万円 年金 184日分    
第6級 年金 156日分 一時金 192万円 年金 156日分    
第7級 年金 131日分 一時金 159万円 年金 131日分    
第8級 一時金
503日分 一時金 65万円     一時金 503日分
第9級 一時金 391日分 一時金 50万円     一時金 391日分
第10級 一時金 302日分 一時金 39万円     一時金 302日分
第11級 一時金 223日分 一時金 29万円     一時金 223日分
第12級 一時金 156日分 一時金 20万円     一時金 156日分
第13級 一時金 101日分 一時金 14万円     一時金 101日分
第14級 一時金 56日分 一時金 8万円     一時金 56日分


  • 障害(補償)給付 
    →障害等級が第1級から第7級に該当した場合は年金が支給され、第8級から第14急に該当した場合は一時金が支給される。
  • 障害特別支給金
    →障害等級に該当した場合に、一時金として支給される。
  • 障害特別年金
    →障害等級が第1級から第7級に該当した場合に年金として支給される。算定には、賞与の額を基準とする。
  • 障害特別一時金
    →障害等級が第8級から第14級に該当した場合に一時金として支給される。算定には、賞与の額を基準とする。
  • 給付基礎日額
    →負傷又は発病の日以前3ヶ月の給与総額を、3カ月間の総日数で割った額。原則として、負傷又は発病の日直前の給与締日から遡って3カ月間で計算する。
  • 算定基礎日額
    →負傷又は発病の日以前1年間に支払われた賞与等の総額を、1日当たりの額(総額÷365)に直した額。

 


上記以外にも条件によっては支給されるものもあります。詳細は、以下を参照くださいませ。

厚生労働省HP

 

障害(補償)給付は、理解するのに時間がかかる制度といっても過言ではありません。労働基準監督署や専門家等に相談することをお勧めいたします。

 

※名称に「補償」がついたものは「業務災害」に該当する給付で、ついていないものは「通勤災害」に該当する給付になります。

 


 



障害等級 障害(補償)給付 障害特別支給金 障害特別年金 障害特別一時金
給付基礎日額の 算定基礎日額の 算定基礎日額の
第1級 年金 313日分 一時金 342万円
年金
313日分    
第2級 年金 277日分 一時金 320万円 年金 277日分    
第3級 年金 245日分 一時金 300万円 年金 245日分    
第4級 年金 213日分 一時金 264万円 年金 213日分    
第5級 年金 184日分 一時金 225万円 年金 184日分    
第6級 年金 156日分 一時金 192万円 年金 156日分    
第7級 年金 131日分 一時金 159万円 年金 131日分    
第8級 一時金 503日分 一時金 65万円     一時金 503日分
第9級 一時金 391日分 一時金 50万円     一時金 391日分
第10級 一時金 302日分 一時金 39万円     一時金 302日分
第11級 一時金 223日分 一時金 29万円     一時金 223日分
第12級 一時金 156日分 一時金 20万円     一時金 156日分
第13級 一時金 101日分 一時金 14万円     一時金 101日分
第14級 一時金 56日分 一時金 8万円     一時金 56日分

労災保険の種類A 休業(補償)給付

〜労災保険の種類A 休業(補償)給付〜


業務中、通勤途中の怪我等が原因で、労働者が休業しなければならない状態である場合に、休業開始4日目から休業(補償)給付の支給を受けることができます。


支給される額は、賃金の約80%です。


休業(補償)給付を受けるためには、以下の全ての条件を満たす必要があります。

  • 業務災害、通勤災害によって治療等を受けている事
  • 当該傷病等によって労働することができないこと
  • 上記のため、賃金を受けていないこと


休業(補償)給付は、4日目から支給されます。業務災害の場合のみ休業初日から3日間は会社(事業主)が賃金保障する必要があります。通勤災害の場合については、休業初日から3日間の補償はありません。 休業(補償)給付を受給中に退職しても、支給要件を満たす限り継続して支給されます。 

 

 
業務災害での補償 ・・・ 休業補償給付  

通勤災害での補償 ・・・ 休業給付

労災保険の種類@ 療養(補償)給付 

〜労災保険の種類@ 療養(補償)給付〜


労働者が業務中、通勤途中で被った傷病等に対する治療費及び関連費用が、基本的に全額補償されます。支給される内容には以下のものがあります。業務災害、通勤災害が生じ、病院に行った時に最初に使う保険となります。

 

  • 診察台等の治療費
  • 薬代
  • 手術費用
  • 自宅療養の場合の看護費等
  • 入院中の看護費等
  • 入院・通院のための交通費


支給を受けられるかどうかは、傷病等の性質に応じて、原則として治療効果があるかどうかで決まります。


受給方法

被災した労働者が治療等を受けた病院等が、労災指定医療機関に該当するかどうかで扱いが異なります。

  • 療養の給付
    指定医療機関で治療等を受けた場合に該当します。この場合は、当該指定医療機関が労災保険から直接治療費等を受け取ります。労働者が当該医療機関において治療費を支払うということはありません
  • 療養の費用の請求
    指定医療機関以外で治療等を受けた場合に該当します。この場合は、一旦治療費を労働者が全額支払い、その後労働基準監督署に請求することで、本人の指定する口座へお金が振り込まれます。

労災保険の種類

〜労災保険の種類〜

 


労災保険の給付には、以下の種類があります。また、業務中だけでなく通勤途中での怪我等についても補償されます。



  1. 療養(補償)給付   ・・・ 傷病の治療費
  2. 休業(補償)給付   ・・・ 休業療養中の生活保障
  3. 障害(補償)給付   ・・・ 心身の後遺障害に対する給付
  4. 遺族(補償)給付   ・・・ 死亡労働者の遺族に対する給付
  5. 葬祭料(葬祭給付)・・・ 死亡労働者の葬儀費用に対する給付
  6. 傷病(補償)給付   ・・・ 発症から1年6ヶ月を経過した重篤な傷病に対する給付
  7. 介護(補償)給付   ・・・ 重篤な傷病によって受ける介護に対する給付
  8. 二次健康診断等    ・・・ 循環器系の異常所見が出た場合の二次健康診断費用に対する給付



  ※通勤災害の場合には( )内の補償等が名称につきません。 



その他にも、義肢などの補装具費、就学等援護費制度、被災労働者やその遺族の社会復帰等を促進するための制度があります。

医療費が高額になりそうなときは

〜医療費が高額になりそうなときは〜


 

病院での支払いが高額になった場合には、あとから申請することにより自己負担限度額を超えた金額が払い戻される高額療養費がありますが、一時的に支払が発生するために大きな負担になる場合があります。


そんな時は、限度額適用認定証を申請してください。

 

限度額適用認定証を保険証と併せて病院等の窓口で提示すると、自己負担額は高額になっても、1カ月のお支払いは、自己負担限度額(収入等によって限度額は異なります)が上限になります。

 

高額な医療費がかかりそうなときは、各健康保険の窓口(※)に早めに申請してください。病院等の窓口に提出した月の支払から適用されます。
 ※国民健康保険・・・市区町村の国民健康保険窓口
  協会けんぽ・・・都道府県の協会けんぽ窓口
  健康保険組合・・・組合の窓口 


限度額適用認定証には次のような制限があります。
 ・2つ以上の病院に同時にかかっている場合は、病院ごとに計算します。
   ・同じ病院でも、科が違う場合は、別に計算します。
 ・同じ病院等でも、通院と入院は別に計算します。 
  等々の制限がいくつかあります。

たとえ制限があっても、限度額適用認定証を使えば高額な自己負担額を支払うよりも低額で済む場合がほとんどだと思います。

 

医療費が高額になりそうなときは、まず限度額適用認定証を申請することをおすすめします。

雇用保険の適用拡大(平成29年1月1日〜)

〜雇用保険の適用拡大について〜

 


平成29年1月1日以降、65歳以上の労働者についても、雇用保険が適用になります。保険料については、平成31年度までは、免除になります。



65歳以上の労働者の雇用保険との関係は、以下の3つのケースがあります。

 

  1. 平成29年1月1日以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合
    雇用保険の適用要件(契約労働時間が週20時間以上、かつ1ヶ月以上雇用する見込みのある労働者、以下同)に該当する場合は、雇用した時点から、雇用保険の加入義務が生じますので、入社日の翌月10日までに届け出を行って下さい。
  2. 平成28年12月末日までに65歳以上の労働者を雇用し、平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合
    雇用保険の適用要件に該当する場合は、平成29年1月1日より加入義務が生じますので、平成29年3月31日までに届出が必要になります。
  3. 平成28年12月末日で、65歳以上で雇用保険に加入している労働者を平成29年1月1日以降も継続して雇用する場合
    届出は不要です。 


いままでは適用要件を満たしても、65歳以上で入社した労働者は、雇用保険に加入できませんでした。今回措置で平成29年1月1日から65歳以上でも加入ができるということは、加入期間の要件さえ満たせば、失業時に給付金(一時金)が支給されます。また、育児休業給付金、介護休業給付金の支給対象にもなります。


加入要件を満たした場合については、労働者を雇用保険に加入させることが会社の義務になります。労働者の選択ではありませんので注意してください。

育児休業中の社会保険料

 

〜育児休業中の社会保険料〜

  

満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間については、健康保険、厚生年金保険の保険料は徴収されません。ただし、日本年金機構への手続は必要です。

 

この手続きは、育児休業を取得する者が次の育児休業を取得する度に必要です。

(1)1歳に満たない子を養育するための育児休業 
(2)1歳から1歳6ヶ月に達するまでの子を養育するための育児休業
(3)1歳(上記(イ)の休業の申出をすることができる場合にあっては1歳6ヶ月)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業

 

保険料が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月までです。
(5月15日が終了予定日ならば、その翌日は5月16日、その前月ですから4月分の保険料まで免除されるという意味です。また、月末が終了予定日の場合、5月31日退社ならば、その翌日は6月1日、その前月ですから5月分まで保険料が免除されるということです。)

 

保険料が免除されても、育児休業を取得する者の社会保険での資格に変更はなく、保険料を納めてた時と同等の補償が受けられます。

     

傷病手当金の待機期間では有給休暇を使用できるか

〜傷病手当金の待機期間では有給休暇を使用できるか〜


傷病手当金を受給するための条件は以下の4つです。

@業務外の疾病又は負傷のための療養
A労務不能(働けない)の状態
B連続3日間待機期間(労務不能期間)が必要
C賃金が支払われていない
 

以上の場合に傷病手当金は、休業4日目から支給されます。

ただし、Bの待機期間中(3日間)を年次有給休暇で処理しても、休業4日目からは傷病手当金は支給されます。

管理監督者の労働時間、休憩、休日

〜管理監督者の労働時間、休憩、休日〜

 

管理監督者は、労働時間、休憩、休日の適用はありません。


つまり、1日8時間を超えて労働しても残業代を、休日に働いても休日出勤等の手当も支払わなくてもいいことになります。

 

ただし、管理監督者の地位にあるかどうかは、部長、課長等の名称にとらわれず、実態で判断すべきものであります。

 

基準として、「部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされています。

 

具体的には以下の点に留意して管理監督者かどうかが判断されます。

  • 職務内容、責任の権限、勤務態様
  • 賃金の待遇面


管理監督者が、休憩時間、休日、休憩については適用を除外されますが、深夜労働(22時〜翌朝5時)については割増賃金が必要になります。 

賃金支払の原則

〜賃金支払の原則〜

 

賃金を支払う場合には、以下に記す5つの大原則があります。

 

  • 通貨支払う
  • 直接支払う
  • 全額を支払う
  • 毎月1回以上支払う
  • 一定の期日を定めて支払う

通貨

・・・強制適応力のある貨幣、つまり「円」のことです。金融機関の預金口座への振込については、@労働者の同意があること、A労働者の指定する本人名義の預金口座に振り込むこと、以上を要件として許容されています。

直接

・・・使用者が労働者に直接賃金を渡すということです。いわゆるピンハネ行為を防止することも一つの目的です。

全額

・・・その時期に支払うべき義務のある賃金は、全額労働者に支払わなくてはなりません。

毎月1回、一定の期日

・・・「毎月25日支払日」のように、支払う日を決めなければなりません。「毎月第4金曜日」といった支払日が変動するようなことは許されません。

賃金は、数ある労働条件の中で労働者が最も重視し、同時に最も問題が発生しやすいといっても過言ではないです。労働問題を未然に防ぐためにも、賃金支払五原則は確実に守らなければなりません。

 

 

 

傷病手当金はいつから受給できるか

〜傷病手当金はいつから受給できるか〜



健康保険の被保険者(加入者)が、業務以外の病気等で働けないときは、傷病手当金が支給されます。ただし、働けなかった初日から支給されるのではなく、最初の3日間(「待期期間」という)は傷病手当金は支給されません。

 

また、待機期間は連続して3日間働けないことが必要です。有給休暇を使用していても問題ありませんが、実際に働いていないことが条件になるのです。


傷病手当金は最長1年6ヶ月間支給されます(同一の傷病の場合。以下同じ)。ここで間違えやすいのですが、1年6ヶ月分支給されるのではなく、1年6ヶ月の間に働けなかった日数分が支給されるということです。


例えば、平成27年1月1日から支給されますと、平成28年6月30日までの期間で仕事ができなかった日数分支給されるということです。極端な話、この間に1日しか支給されていなくても、平成28年6月30日を過ぎてしまえば、働けない日があっても傷病手当金は支給されません。


労務管理・労働問題の疑問

社会保険の疑問

労災・雇用保険の疑問

就業規則の疑問



 

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